#4前注

前日までにする注文のこと。

鮮魚を取り扱う魚河岸においても、当日の仕入れのみでなく、指定日に納品してもらう分が存在する。

客先からの特殊な注文に対応するために注文しておくことに加えて、常時販売しているものを押さえるために保険的に頼んでおく性質のものも含まれる。

入荷があれば、というところではあるが。

一般的には当日の競りで仕入れるよりも高値になる場合が多い。

関連語として[明け]

@Usage@

[来週の金曜日に30kg、土曜日に40kg前注頼むわ。]

[こっちは前注してんのに0はおかしくねぇか?他所に回してんじゃねぇのか?]

-Prejudice-

少し高くついても前注をするメリットとしては、仕入れられるかどうか分からない状態を回避出来ることにある。

そのほか、荷物は市場に到着次第、順次荷割され配達されるため、仲卸の出勤前には既に店舗に届いていることも多く、スムーズな営業に繋がることもある。

仲卸からすると非常に都合の良いシステムである。

反対に、大卸からしても売り前を増やすために大事なスキームでもあるのだ。

ただ、そう簡単なものでもない。

かなりの拘束力が発生しているからである。

各地の鮮魚水揚げ情報を以前よりもリアルタイムに取得できるようになると同時に、豊洲市場への入荷量なども管理しやすくなったこと。

船上あるいは港の生け簀、または各社の抱える水槽で泳がすなど、漁獲後の流通量をコントロールする手法が発展してきたこと。

各漁港の荷主達が、各種手当に関する知識や技術を蓄積してきたこと。

これらが組み合わさることにより、指定日近辺で水揚げが全く無い場合においても、どこかでコントロールして準備出来る場合がある。

それをコントロールするよう手配するのが大卸の腕でもある。

だからこそ、落としてはならないのだ。

仲卸からすると[前注しておけば絶対]に近い感覚でいるのだ。

そう、落としてはならないのだ。

頼んでおいたのに納品出来ないとなるととてもマズいことになるのは想像に難くないだろう。

叱咤だけでなく、取引の継続性にまで言及する場合もある。

何度も言うが、前注は落としてはならないのだ。

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